2012年10月31日
英語は世界共通語
こんにちは。
10月25日(2012年)付けの日本経済新聞にカリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授のコラムがありましたのメモしておきます。
中村先生のお話はいつも「切れ味」がよいのですが、今回も日本の大学を「バッサリ」です。
「日本の大学では、先生が『本に書いてあること』を教え、学生はノートを取る形が多い。しかし、本にあるのは『歴史』でしかない。歴史学ならそれでもいいが、理系の、特に最先端の研究をしたい学生に本の内容を教えても意味はない」
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日本人科学者のノーベル賞受賞が続き、日本の実力を世界に示す一方、電機・IT(情報技術)業界では米アップルや韓国サムスン電子が市場を席巻し、日本の影はすっかり薄くなった。有力な新興企業が次々と生まれる米国で大学の果たす役割とは何か。高輝度な青色発光ダイオード(LED)の量産に世界で初めて成功した米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授に話を聞いた。
世界で競うには英語力
頭脳の価値、評価正当に カリフォルニア大教授 中村修二氏
――米国の大学の強みは何ですか。
「まず感じるのは、世界の標準語である英語を使い、様々なルールや規格、標準化の中心にいることだ。そのため、米国の有力大学には世界中から優秀な学者や学生が集まってくる。米国人に優秀な学生がいなくても大学は最高水準を保てる。これは強い」
「日本は技術はあるというが、技術を学ぶために日本の大学に世界中から優秀な学者や学生が集まってくるか。教育の中身以前の問題として言葉の壁がある。その現実は無視できない」
――日本にも英語重視の動きがあります。
「不十分だ。学校での英語教育が実践的でないだけでなく、日本企業の採用や教育にも問題がある。日本の企業には米国で博士号を取得したようなエンジニアや研究者が少ない。英語で交渉できる人も少ない。韓国や中国の企業は米国の大学で教育を受けた人を大量に採用し、グローバル化を進めている。この差は大きい」
「ある程度強制してでも、英語をきちんと話せる教育を施すべきだ。日本人は能力で他国の人々に劣っていない。共通語を身に付ければ必ず勝負できる。自らの技術や製品、サービスについて外国に説明し、売り込めないようではダメだ」
――米国では学生や大学教授が関係するベンチャー企業が多いですね。
「大学に規制が少ないことが大きい。日本は規制がありすぎだ。司法制度一つとってみても日本は判例主義で、前例のないことは認めない。陪審員が大きな力を持つ米国では前例は必ずしも絶対ではない。その時々の正義をベースにルールは変わっていく。新しいことがしやすい環境にある」
――日米の大学の違いもありますか。
「日本の大学では、先生が『本に書いてあること』を教え、学生はノートを取る形が多い。しかし、本にあるのは『歴史』でしかない。歴史学ならそれでもいいが、理系の、特に最先端の研究をしたい学生に本の内容を教えても意味はない」
「米国の大学では、成功したベンチャー起業家やエンジニアが教壇に立つ。まだ本にもなっていない最先端の生きた知識を学べる。教壇に立つ側も学生の挑戦を受けながら教えるのだから刺激的だ。学生が最先端の技術を学び、それを上回るものを考えつけば起業するわけだ」
「学生がいいアイデアを考えつけば、大学教授もベンチャー投資家に紹介したり、一緒に起業したりする。教え子が成功すれば教授の名誉にもなる。そうした好循環が次の大きな成功につながる可能性を高める」
――中村教授もLED関連のベンチャー企業を起業しました。
「米国では、大学での研究成果を実際のビジネスで生かし、世の中に還元していくのは当然。大学教授が起業するのも自然のことと受け止められている。日本でも一時期、大学発ベンチャーがもてはやされたが『研究者が金もうけをするのはけしからん』との意識が残ったままでは成功するのは難しいのではないか」
「大学であろうと企業の研究所であろうと、研究成果である知識やノウハウ、つまり頭脳の価値は正当に評価されるべきだ。米国では研究者が起業する場合、出資しなくても、株式が付与される。『頭脳』に対して株式が与えられるのだが、日本では研究者が資金を出さない限り、株式を受け取れることはない。頭脳に価値を認めていないからだ」
「しかも日本のベンチャー投資は起業家に保証を求めることが多く、実質的には担保を取った融資だ。一方、米国のベンチャーキャピタルは投資リスクを取って出資する。起業に失敗した場合に起業家が自宅を失って再起不能になるようなことはほとんどないので失敗しても再挑戦しようとする。日米の仕組みや風土の違いは大きい」
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Posted by 百武塾 at 21:33│Comments(0)
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